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by onsa-brother

月明かりと照明


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昔から職人さんに憧れている。

わたし自身にその資質が無いことは自分でようく分かっておるので、その憧れは日に日に増すばかりだ。

叶わぬことのひとつである。


一昨日と昨日、種々の雑多な仕事をしつつ、今度引っ越しする店の電気工事(こればかりは、自分たちではできんので。)に立ち会った。

電気屋さんは、かねてからの知り合いであったのでお願いしたのだが、彼のことをよく知る訳ではなかった。ただ、必要最低限をぽつりぽつりとしか話さない彼の物腰には、好感を抱いていた。


無口なその電気屋さんの仕事、立ち居振る舞いの美しさ、工事内容における確認の必要性、間合いと的確さ、行動と結果による無言の配慮の細やかさに触れるにつけ、もうやられてしまって、わたしの職人さんに対する羨望が好奇心となってむくむくと沸き起こり、10時と15時のお茶の時間をねらって、ここぞとばかり、あれやこれやの質問攻撃。

これまでやった工事のこと、道具のこと、いまやっている現場の状況、などなどだ。

話を聞くうちに分かったのは、やはり彼は、わたしの憧れる職人さんであったということだ。彼、わたしと同い年。

詳細は承認を得ておらんので書くことを控えるが、不都合でないだろう印象に残った言葉をふたつばかし。


「電気工事は見えない部分が大半で、だからこそ、見えてない部分にこそ、最大の注意を払って仕事をする。」

「ひとが面倒と言ってやらないことを、たとえ面倒と思っても口には出さずあえてやる、面倒と思ったことが、次には面倒ではなくなり、普通のことになるからだ。」


ということをやり始めてから、仕事が入るようになったのだと言う。


見られていないようでいて、ひとは見ていて、悲惨な状況にあっても誠実に、真摯に、それに向かっておれば、手を差し伸べてくれるひとはおるのですよという、ありきたりでにわかには信じがたい、小学校の道徳の時間でしか教えられんようなことが実は現実にあるのだ。


こんな話を他人にしたのは初めてだと彼は言った。

そんなやりとりができたのが嬉しくて、しつこく誘って、今度時間を見つけて飲みに行く約束をとりつけた、しめしめである。

待てよ、これではわたしがまるで、好きな女の子との初めてのデートの約束ができ、嬉々としてひとり喜ぶ男の子のようではないか、気持ち悪い。



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棚裏照明、仮設置(つたない棚造作はわたし、くれぐれも職人さんではない。)







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by onsa-brother | 2015-03-23 07:00 | ・雑記