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by onsa-brother

スキシャの視線


「ハルシネ(幻視者)の視線、ハルシネの視線・・・。」と呪文のように頭の中で唱えていた時期がある。
まさに夢見る青臭いクソガキの頃で(まぁ、今でもあまり変わらぬのではあるが。)、見えないものがみたい、見えないものの中にひとつの真実が隠されている筈だ、と本気で思っていたのである。
(こいつ、いってもうとるのぅ。)と思われては厄介なので詳しくは割愛するが、それに近い体験をしたことも何回かある。くれぐれも言っておくが、霊感はない。おそらくそれを願う意識と錯視と思い込みのなせる業であったろうと思う。

さておき、昨日店に、ちょっと面白いお客さんが訪れた。
同年代の男性で、京都在住、休暇を利用して帰省しており、うちの店をたまたま知りふらっと訪れてくれたものだ。
店の品を眺めつつ、手に取りつつ、モノについて静かなものごしで私に話しかけてきて、会話がはじまり、色々話していくうち、私、心の中で思わず呟いた。
(ヤバイ、このひとスキシャだ・・・。)
冷や汗たらりである。

そのひとは、あくまで私が勝手に思い描く数寄者であって、本人にしてみれば、そんな形容は不本意かもしらぬので、心外であったならいまのうちお詫びしておきたい。
しかしながら、ひやひやしながらのそのひととの会話がまたおもしろいのだ。
まず、モノをよく見ており(多く、ようく)、よく識っており、それを基盤にしつつの自身の視点を持っている方であると感じた。
且つアイロニカルな見解も小気味良く爽快で、多くをしったうえで、惑わされぬことを意識して自身の価値基準を構築したのではなかろうかと推察。

こういうスキシャを前にすると、私がタジタジとなるのはしごく当たり前のことで、それは、私がモノを売ることを生業としておるからで、要するに邪念があるからで、純粋な眼でモノが見れなくなっているからで(うしろめたささえ感じる。)、気付かぬふりをしていたのに、彼の出現によって、そのことが際立ち、白日の下に晒されたのだ。

この商売をしている限り、そのひとのような純粋な自身の視線を得ることは無理であろうが、私は頭の中で呪文のように繰り返し繰り返し唱える。

「スキシャの視線、スキシャの視線、スキシャの視線・・・。」


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碗 2客  sold out ありがとうございました。







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by onsa-brother | 2015-03-14 21:06 | ・雑記