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by onsa-brother

病の叔父を病院に見舞った。
病室を訪れたとき、叔父はちょうどリハビリを終えたばかりで、叔母の付き添いで車椅子に乗り、気晴らしに廊下の窓から外の景色を眺めに病室を出るところであった。病室の窓は網入りの磨りガラスで、しかも諸事情から5センチ程しか開かず、病室から外の景色を見ることは叶わないのだ。
それに伴ってわたしも廊下へと出た。廊下の突き当たりの開口部も同じ諸事情とやらで窓を開けることはできず、外部の手摺の腰壁により車椅子からの目線で見える外の景色は、空とわずかな山の稜線のみであった。
それでも叔父は、「空が見えるだけいい。」と言った。
冗談好きの叔父で、掃除のおばさんに座った車椅子をして、只今ベンツでドライブ中と言い、戻った病室で排泄の手伝いにやってきた若い女の看護師をつかまえて、去り際、まった、きってねぇ、とお茶目に言う。
肺の病を患っているのだが、健常な頃はヘビースモーカーで、吸い終わった煙草の火を親指と人差し指で直接もみ消すようなひとだ。
何十年もの間、船に乗る仕事で一年のほとんどを海の上、外国のどこかにいた叔父は、いまほとんどの時間をベッドの上で過ごす。
今日、病院の廊下の窓から少しだけ見えた空と、かつて船の上、大海原から見た空との差異を叔父は感じていたのだろうか。

今日の青空は澄み渡っており、夕空は美しかった、明日も快晴の模様。

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by onsa-brother | 2014-04-14 23:51 | ・風景